【6月】早発白帝城
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
朝早く朝焼け雲のたなびく白帝城に別れを告げて、三峡を下ると、千里もの距離がある江陵に、たった一日でついてしまう。切り立つ両岸では、群れをなす猿の鳴き声か絶え間なく続いている。その鳴き声が続いているうちに、私の乗った軽い舟は、いくえにも重なった山の間を通り抜けてゆく。
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ご存じ李白(701-762)のよく知られた、長江三峡を詠んだ代表的な七言絶句です。25歳頃の作と言われています。「白帝城」と「彩雲」、「千里」と「一日」、「軽舟」と「万重山」の視覚的対比とともに、「猿声」の聴覚的世界が交錯し、大変細かい心配りのある作品となっています。
夏休み、長江下りをされる方も多い季節、この詩の味わいを今も感じられるかどうか、是非お試しいただけたらと思います。