【9月】秋浦歌
【大意】
鏡に照らして我が姿を見れば、白髪は三千丈もあろうかと思われるほどに長い。積もり積もった愁いのために、こんなにも長くのびたのだろう。澄んだ鏡の中にうつる白髪の姿を見るにつけても、この秋の霜のような白髪は、いったいどこからやってきたものだろうか。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)
* * * * * * * * * * * *
李白、五十四、五歳頃の作と言われ、秋浦の地に客となっていた時、自らの老いを嘆いたものです。「白髪三千丈」は古来、大変有名な句で、少々大げさに思えますが、それだけ驚きが大きかったといえるのでしょう。いずれにしても、たった五文字で、その驚き・嘆きをズバリ表現しています。
実は、今年還暦を迎える自分も既に白髪頭ですが、実際には染めているので、まだあまり実感がありません。老いを嘆くというには、今の時代では60ではまだ早すぎるようですが、一つの区切り、新たなスタートとしては、いい年だと思っています。