【1月】梅花
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
垣根の角に数本の梅の枝が見え、寒気を衝いて自分ひとりだけで開いていた。遥かに離れていても、それは雪でないことがわかる。それはどころからともなく漂ってくる香りがあるためだ。
(詩詞世界 碇豊長の詩詞:漢詩より)
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王安石(1021~1086)は、字は介甫。江南省の臨川を本籍とする。詩人としても名高いだけでなく、文章家としても有名であるとともに、政治家としても傑出していました。
ところで、梅の花は牡丹と中国の国花の候補にも挙げられる通り、古くから人々に愛され、詩にも多く詠まれてきました。牡丹が富貴を象徴するのに対して、梅は孤高を著す凛とした姿が、永く人々の共感を得てきたものと思われます。ここでも寒さの中、他の花に先駆けて独り咲いている姿が描かれています。自らの在り方を梅に託して描いているのは、王安石も同様かもしれません。
家のベランダにある鉢植えの梅も、今年も赤いつぼみを付けています。その姿は、本当に愛らしく、「今年も咲いてくれて、ありがとう!!」と、思わず頭が下がる思いです。