【9月】静夜思
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
秋の静かな夜、寝台の前に月の光が白く差し込むのを見て、地上に降った霜かと疑うほどであった。だが、よくよく見ると、霜ではなかった。そこで、光をたどって頭を上げてみると、山の端に月がかかっている。その月を眺めていくうちに、故郷のことが思い起こされ、頭は知らず知らずうなだれて、私はいつかしみじみと望郷の念に浸っている。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)
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月の美しい季節です。この詩は月の光に誘われて望郷の念をしみじみとうたっています。中学校から習ったこの詩の魅力は、なんといってもわかりやすい素朴なタッチで実に深い心をうたっているところであると思います。誰でも本当にそうだなあと、すぐに想像・体感できること。それが時代や場所を超えて、多くの共感や支持を得ているのではないでしょうか。