【9月】山居秋暝
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
秋の静かなもの寂しい山に、ザァーッと雨が降り、そして上がったばかり。雨上がりのあと、澄んだ気配は夕暮れにいよいよ清らかに、秋らしくなる。松の葉越しに照る月の光、石の上をサラサラ流れる清らかな泉の流れ。竹林の向こうに何やらにぎやかに話し声が聞こえて浣女が帰ってゆき、入江の蓮が動いて、漁舟が川を下ってゆく。春の花は勝手に散ってしまうがよい。王孫は春の草花が枯れ尽きようと、そんなことにはかまわずここに留まるだろう。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)
* * * * * * * * * * * *
またまた3か月続いて、王維の詩です。王維は宮仕えの傍ら、都の郊外の?川荘での隠逸生活を楽しみ、隠者の歌を歌ったといわれます。これもまた静けさと澄んだ美しさ、わびの中にもツヤが感じられる詩です。こうした透明感は、王維の際立った特徴の一つです。