中国語の部

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毎月一首


【2月】回郷偶書


(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)

【大意】
 高い柳の木が碧玉に身を飾った美女のように、たおやかで変化に富んでおり、何千何万と垂れ下がる枝葉はその緑色の絹帯のようである。この細く柔らかい柳の葉を誰が切るのか知っていますか? それは鋏のように鋭い二月の春風だよ。
 (石川忠久編『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫,2009年より)

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 賀智章(が ちしょう)(659~744)の詩です。賀智章は李白を見出した人として知られ、李白の文章を見て「君は天上からこの世に流された仙人(謫(たく)仙人(せんにん))だな」と感嘆し、玄宗に言上したといわれています。また、杜甫の「飲中八仙歌」で筆頭に挙げられるほどの酒飲みで、酒を飲んで詩を書けばたちどころに巻を成すといった調子であったそうです。
 この詩は旧暦二月(新暦の三月)の春風が青々と垂れ下がるしなやかな柳の枝葉を鋏のように切るという、なんとも想像力溢れる春の自然の仕組みと美しさを一幅の絵のように描き出しています。私が住んでいた頃、北京の冬は薄茶一色でした。そこに川岸に連なる柳並木の枝がうっすらと緑色に染まってくる景色が、春の訪れを告げてくれるのです。その美しさと溢れる喜びは何とも表現できないほど大きなものです。この詩を読むと、いつもその風景を思い出します。日本の表日本ではなかなか味わえない芽吹きの喜びです。

 

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