【1月】梅花
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
ここ剣外の地(蜀)に、官軍が河北を手に入れたとのニュースが突然伝えられ、聞いた途端に嬉し涙がこぼれて、服をびしょびしょに濡らした。振り返って妻子を見ても、日頃の憂いはどこへ飛んでいったやら。気もそぞろに詩書を巻いて、喜びのために気が狂ってしまいそうだ。さあ、真昼間から思い切り大声で歌いまくり、存分に祝杯を挙げずばなるまい。この春こそ一家そろって故郷に帰れるのだ。今すぐにも巴峡から巫峡をぬけ、そこから襄陽に下って、洛陽に向かうことにしよう。
(松枝茂夫編『中国名詩選』中 岩波文庫,1998年より)
* * * * * * * * * * * *
763年春の作。杜甫は成都に起こった反乱事件を機に、梓州(今の四川省三台県)に移っていました。
この年正月、関東では8年に及んだ安史の乱がようやく平定され、一応の収束を見、その報に接した喜びにはずんだ歌です。
今、コロナ禍の状況とともに、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、戦争のニュースが日々報じられています。一日も早い収束と平和を心から祈ります。