【6月】飲湖上初晴后雨
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
【大意】
さざなみを浮かべた水の光は、晴れわたった今こそまさにすばらしい。一方、霧のように山をつつんだ雨の景色も、またひときわのながめだ。晴れても雨でも美しい西湖の姿を、いにしえの越の美女西施にたとえてみるならば、薄化粧、たんねんな化粧、なべてみな風情がある。
(石川忠久編『漢詩鑑賞事典』,講談社学術文庫,2009年より)
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蘇軾(1036-1101)は字は子瞻(しせん)、北宋を代表するの詩人、今の四川省眉山県の人です。この詩は38歳の時、西湖に遊んで作った詩とされています。西湖の晴雨変貌する美しさを絶世の美人西施にたとえる連想は、大いに納得させられるものです。西湖はいつ行ってもどんな季節であっても、それぞれ本当に美しく趣があります。実は自分が死んだら、是非お骨の一部を西湖に撒いてほしいと願っていますが、はたして実現するかどうかはわかりません。