【六月】晩晴
(『看図読古詩(修訂版)』, 金盾出版社, 1994年より)
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この詩は初夏の黄昏時、雨後の晴れ間の様子を描いており、原詩の前半の四句にあたります。詩の意味は、私は今、ひなびた静かな場所に住んでいて、ここから下を見ると夾城が見えます。春はすでに過ぎ、夏がひっそりとやってきていますが、気候はまだ爽やかです。雨が何日か続き、今日夕方になってようやく上がりました。天は暗がりに生える草を憐れんでか、それらを生き生きと成長させています。そうでなければ、それらは雨水に浸からせてしまうでしょう。はるか西の空を見ると、一面金色に輝き、雨後の晴れた黄昏時の光は何て美しいのでしょう!ここには作者の晩晴に対する賛美が表現されています。
こうした風景は、今の季節よく見られますね。雨上がりの夕暮れ時、辺りを眺めると、こんな気分になれそうです。李商隠といえば有名な「楽游原」の詩中においても「夕陽無限好, 只是近黄昏」と詠まれているように、黄昏時と人生の晩年とを重ねて、人々にいろいろな感慨を生じさせてくれる詩人ですが、そうしたことに思わず反応してしまうのも、自らが年を取ったという証拠なのかもしれません。